外来を訪れる患者さんには医学的な治療は行わず、「言葉の処方箋」を出している。だから肉体的な副作用はないという。
この本に学ぶのは、必ずしも命が一番大事だと思わないほうがいいということ。時には、自分の命より尊いものがある、大切なものがあると思ったほうが、私たちは幸せな人生を送ることができるようだということ。
読みすすめるとこの意味がよくわかる。
死を宣告されたり、直面したりするまで自分の寿命に気をかけることはなかなかない。その時になってはじめて、生きる価値に気がつく。自分は何をしてきたんだろうと振り返る。
自分が生きてる「今」という時間以外には何もない。過去は過ぎたし、未来を心配しても、結局、なんとかすることができるのは「今」だけ。だからといってだいそれたことをする必要もなく、目の前のことを精一杯やって、一歩前に進めたなって思えることに喜びを見出せることが明日への幸せになるし、そういう過去を積み重ねていけばいい。過去を憂うこともなく、未来を心配して今を生きることもなくなる。
大きな夢でも小さな夢でも、何かしらとっかかりを見つけることは案外難しくなかったのに、ただやらないだけだったのかもしれない。それが過去の自分となり、今まで自分は何をしてきたんだろうと塞ぎ込んでしまう。
本に、年代ごとの役割が紹介されていた。
20代、30代は人に言われたことを黙々とがむしゃらにやる。
40代になったら自分のやりたいことや好きなことに専念する。
50代になったら積極的に周りの人の面倒を見る。
60代になっても自分のことしか考えていなかったら恥と思え。
高齢になれば人の面倒を見れなくなり、それどころか人に面倒を見てもらう立場になることのほうが多くなる。その時は人のことを想うだけでいい。
要は、年代うんぬんというよりも成長段階があるということ。
自分のことばかり考えて思いつめてしまう時は、他の人や、自分よりも困っている人のために何かできないかを考えてみる。本当にしてあげることができたらいいけれど、そう想うだけでも少し幸せになれる。それに自分ではコントロールできないこともたくさんあるから一喜一憂していてもしかたない。
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